■やまぐちバーチャルアートミュージアム
山口県立美術館、山口県立萩美術館・浦上記念館の代表的な所蔵作品(コレクション)を、オンライン上のバーチャル美術館でご紹介します。
「香月泰男のシベリア・シリーズ」「雪舟と雲谷派」「山口ゆかりの作家たち」など、5つのテーマを設けた仮想展示室で、じっくりお楽しみください。
■山口県出身・ゆかりの作家

【山口県出身作家】洋画

香月泰男 かづき・やすお KAZUKI, Yasuo 1911-1974
三隅町(現:長門市三隅)出身。東京美術学校(現:東京藝術大学)卒業。国画会を中心に数多くの展覧会に出品。最初期は梅原龍三郎の影響を受けた作風であったが、徐々に透明な色調の独自の作風を確立。1943年(昭和18)に応召、シベリア抑留を経て1947年(昭和22)帰国。戦後、シベリア抑留体験をテーマに「シベリア・シリーズ」を発表し、1950年代末から炭と方解末を使った材質感あるモノクロームの画面と、深い人間性の洞察をふまえた制作で著名になる。1974年(昭和49)3月8日没。62歳。
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〈私の〉地球 ・・・ <My> Earth / 1968 / 油彩・カンヴァス / 111.6×162.1
青の太陽 ・・・ Blue Sun / 1969 / 油彩・カンヴァス / 162.1×111.6
埋葬 ・・・ Burial / 1948 / 油彩・カンヴァス / 72.5×117.0
ダモイ ・・・ Damoy / 1959 / 油彩・カンヴァス / 72.9×116.8
黒い太陽 ・・・ Black Sun / 1961 / 油彩・カンヴァス / 116.3×72.9

【山口県出身作家】洋画

小林和作 こばやし・わさく KOBAYASHI, Wasaku 1888-1974
秋穂町(現:山口市秋穂)出身。京都市立絵画専門学校(現:京都市立芸術大学)卒業。はじめ日本画を描き、のちに洋画に転向。春陽会に入り、後に独立美術協会の会員となる。1934年(昭和9)より広島・尾道に住み、独立美術協会の重鎮として活躍。各地を旅して山奥に分け入ってスケッチを行い、豊かな色彩と独特なタッチの風景画を描いた。また、随筆家としても知られた。1974年(昭和49)11月4日没。86歳。
秋晴 ・・・ Fine Autumn Day / 1957 / 油彩・カンヴァス / 80.4×100.3
春の海 ・・・ Spring Sea / 1974 / 油彩・カンヴァス / 80.2×100.1

【山口県出身作家】洋画

松田正平 まつだ・しょうへい MATSUDA, Shohei 1913-2004
島根県出身。8歳の時、宇部市の松田家の養子に入る。東京美術学校(現:東京藝術大学)で藤島武二に師事。卒業後フランスに留学。帰国後は国画会を中心に出品。1984年(昭和59)に第16回日本藝術大賞を受賞。1950年代までは厚塗りの画風であったが、色相を薄く塗り重ねた透明感あるマチエールへと変化し、晩年の「周防灘シリーズ」では、飄逸味と詩情をかもし出すフォルムを加え、一層の画境の深まりを見せた。2004年(平成16)5月15日没。91歳。
周防灘 ・・・ The Sea of Suo / 1980 / 油彩・カンヴァス / 80.8×116.8
オヒョウ(大きな魚) ・・・ A Halibat / 1984 / 油彩・カンヴァス / 73.0×117.1

【山口県出身作家】日本画

狩野芳崖 かのう・ほうがい KANO, Hogai 1828-1888
下関出身。長府藩御用絵師の子として生まれる。幼くして画技に長じ、藩費にて江戸の狩野家に入門した。1867年(慶応3)家督を嗣ぐが、明治維新で失職し、住居と職を転々とする。のちにフェノロサや岡倉天心らの知遇を得て、東京美術学校(現:東京藝術大学)設立に尽力。斬新な色彩感覚や新しい空間表現などにより、近代日本画の生みの親となった。東京美術学校開校直前の1888年(明治21)11月5日没。61歳。
懸崖飛沫図 ・・・ Landscape / 1885頃 / 絹本墨画 / 30.2×31.4
呂洞賓鉄拐図 ・・・ Lu Tung- pin Tien-Kuai / 明治時代 / 紙本墨画淡彩 / 137.4×62.8
月夜山水図 ・・・ Landscape / 明治時代 / 紙本墨画淡彩 /125.2×53.4

【山口県出身作家】日本画

松林桂月 まつばやし・けいげつ MATSUBAYASHI, Keigetsu 1876−1963
萩市出身。野口幽谷に師事、はじめ美術協会展に出品。のち文展・帝展にも出品。受賞歴多数。帝展時代には審査員として活躍し、1944年(昭和19)帝室技芸員となる。1958年(昭和33)文化勲章受賞。詩趣と情感にあふれた独特の画風を確立し、近代南画の復興に尽くした。1963年(昭和38)5月22日没。86歳。
秋水群雁図 ・・・ Wild Geese in Autumn / 1909 / 絹本着色 / 168.8×83.1

【山口県出身作家】日本画

小田海僊 おだ・かいせん ODA, Kaisen 1785−1862
佐波郡富海(現:防府市富海)出身、赤間関(下関市)の染工の養子となったと伝わる。名は贏(えい)、字(あざな)は巨海、別号は百谷(ひゃっこく)。22歳の時京都に出て四条派の松村呉春に師事。後に頼山陽に師事。共に九州を遊歴する。元・明の古画を模して水墨画、南画に特色を発揮した。1862年(文久2)8月24日没。78歳。

【山口県出身作家】日本画

朝倉南陵 あさくら・なんりょう ASAKURA, Nanryo 1756-1843
徳山(現:周南市)出身。徳山藩御用絵師朝倉家の養子となる。はじめ雲谷等徴に入門し、等遠、等圭と号した。その後、藩命により長崎に渡来した沈南頻の画風を学び、南頻風の花鳥画を描いた。徳山藩に仕えて永世小姓格となり、1831年(天保2)に隠居した後も優遇された。1843年(天保14)11月20日没。88歳。

【山口県出身作家】日本画

高島北海 たかしま・ほっかい TAKASHIMA, Hokkai 1850-1931
萩出身。明治に入り農商務省の技術官吏を務めた後、48歳で隠棲。53歳で画家となるため上京。実景を科学的に分析して絵画表現の世界に活用するという方法によって独自の画風を樹立し、近代山水画を創始した。文展の審査員を務めるなど画壇の中核として活躍。また、フランスのナンシー留学中にエミール・ガレなどの美術家と交流し、海外への日本美術の普及と影響に大きく関わった。1931年(昭和6)1月10日没。82歳。

【山口県出身作家】日本画

藤田隆治 ふじた・りゅうじ FUJITA, Ryuji 1907-1965
豊北町(現:下関市豊北町)出身。はじめ高島北海に学び、のち上京して野田九浦に師事する。戦前は日本画会や新日本画会、青龍社展などに出品し、1936年(昭和11)にはベルリン・オリンピック芸術競技で銅メダルを受賞。戦後、北九州八幡に移り中央画壇から遠ざかるが、1960年代に入って再び奮起し東京で個展を開催。戦前は平明な写実を基本としたが、戦後、絵具の質感を活かした幻想的な作風へと移行し、晩年は、形態の解体と再構成による原始的生命感のある作品を発表した。1965年(昭和40)1月28日没。57歳。
動的な群像 ・・・ Active Figures / 1964 / カンヴァス、着色 /162.0×260.7

【山口県出身作家】日本画

小野具定 おの・ぐてい ONO, Gutei 1914-2000
田布施町出身。東京美術学校(現:東京藝術大学)日本画科卒業。新制作協会展に出品を続け、1964年(昭和39)新作家賞を受賞。その後新制作協会から独立した創画会会員となる。1999年(平成11)芸術選奨。日本海沿岸の漁村の風景を、黒の太いタッチで描く寂寥感あふれる画風で、厳しい現実に立ち向かう人間像をテーマとした。2000年(平成12)5月17日没。86歳。

【山口県出身作家】洋画

永地秀太 ながとち・ひでた NAGATOCHI, Hideta 1873-1942
下松市出身。松岡寿に師事し、のちに明治美術会附属教場絵画科に学ぶ。1902年(明治35)、太平洋画会創立会員となり、同会の主要な会員として活動、文展・帝展に入選を重ね画壇での地位を築いた。1898年(明治31)より陸軍中央幼年学校に勤務、1920年(大正9)に退官後、文部省在外研究員として渡欧、帰国後は東京高等工芸学校(現:千葉大学工学部)教授を務めた。1923年(大正12)、フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章授与。正確なデッサンと明るい穏やかな色彩を特徴とする、山口県洋画家の先駆的存在である。1942年(昭和17) 12月14日没。70歳。
更紗の前 ・・・ In Front of Printed Cotton / 1924 / 油彩・カンヴァス /117.0×91.2

【山口県出身作家】洋画

桑重儀一 くわしげ・ぎいち KUWASHIGE, Giichi 1883-1943
岩国市出身。アメリカに留学してカリフォルニア大学を卒業後、渡仏。ジャン・ポール・ローランスに師事。帰国後は大平洋画会の会員となり、帝展に出品。1932年(昭和7)帝展推薦(無鑑査)となる。確かなデッサン力と穏やかな作風の中に、大正ロマン主義の精神をも感じさせる。1943年(昭和18)5月24日没。61歳。

【山口県出身作家】洋画

長谷川三郎 はせがわ・さぶろう HASEGAWA, Saburo 1906-1957
長府(現:下関市長府)出身。神戸に移住。高校時代に大阪の信濃橋洋画研究所に入り、小出楢重に師事。1929年(昭和4)東京帝国大学文学部美学美術史学科卒業。同年アメリカを経てヨーロッパ各国へ遊学。サロン・ドートンヌ出品。1932年(昭和7)帰国、新時代洋画展を結成。1937年(昭和12)自由美術家協会を創立。日本における抽象絵画の先駆者の一人で、戦後は木版、拓版、水墨などを用いた作品も制作。サンフランシスコ美術大学客員教授として渡米し、1957年(昭和32)3月11日没。50歳。

【山口県出身作家】洋画

中本達也 なかもと・たつや NAKAMOTO, Tatsuya 1922-1973
東和町(現:周防大島町)出身。帝国美術学校(現:武蔵野美術大学)卒業。自由美術協会初出品で最高賞を受賞し、会員となるが、のちに脱会。第1回みづゑ賞受賞。第3回安井賞受賞。多摩美術大学教授を務める。海のイメージを持つ重厚なマチエール、コラージュなどを特徴とし、「残された壁」シリーズで知られる。1973年(昭和48)7月22日没。51歳。

【山口県出身作家】洋画

宮崎進 みやざき・しん MIYAZAKI, Shin 1922-2018
徳山(現:周南市)出身。日本美術学校卒業。戦後シベリア抑留を経て帰国後、光風会、日展を中心に活躍し、第10回安井賞受賞。人間をテーマに、デフォルメされた人体やねじれた空間表現で特異な抒情性を打ち出した。1980年代から、シベリアをテーマに据えた抽象的作品を発表し続けている。多摩美術大学名誉教授。周南市美術博物館名誉館長。2018年(平成30)5月16日没。96歳。

【山口県出身作家】水彩画

河上左京 かわかみ・さきょう KAWAKAMI, Sakyo 1889-1971
岩国市出身。兄は経済学者の河上肇。 関西美術院および太平洋画会研究所で洋画を学び、のち水彩画に転じて、日本水彩画会に所属。二科会、光風会にも斬新な水彩画を出品。初期は青の色調による重厚な画面、後年は暖かい色調の静物、風景を描いた。1933年(昭和8)に、兄河上肇が投獄されたのを契機に、東京から郷里の岩国に戻り、中央画壇と距離をおいた。1971年(昭和46) 1月2日没。81歳。

【山口県出身作家】素描

吉村芳生 よしむら・よしお YOSHIMURA, Yoshio 1950-2013
防府市出身。山口芸術短期大学卒業。創形美術学校卒業。1978年(昭和53)シェル美術賞展佳作賞。1980年(昭和55)山口県美術展覧会最優秀賞。1983年(昭和58)山口県芸術文化振興奨励賞。2007年(平成19)第61回山口県美術展覧会大賞。2010年(平成22)山口県立美術館で回顧展が開かれる。一貫して、色鉛筆などで写真を拡大転写する手法で制作を行い、その超絶的な仕事に評価が高まっている。2013年(平成25)12月6日没。63歳。

【山口県出身作家】彫刻

河内山賢祐 こうちやま・けんすけ KOCHIYAMA, Kensuke 1900-1980
熊毛郡平生町出身。1930年(昭和5)東京美術学校(現:東京藝術大学)彫刻科卒業。卒業の年に、帝展系の若手グループの塊人社に参加。在学中から帝展に入選し、第4回新文展から無審査。しかし、活動の中心であった塊人社は、1944年(昭和19)解散。1945年(昭和20)空襲で代表的作品を焼失。戦後は団体に所属せず1955年(昭和30)頃まで活動。アカデミズムのなかで培われた堅実で重厚な人体造形を本領として、山口県内各地での肖像彫刻制作で活躍。1965年(昭和40)宇部に移り、1980年(昭和55)1月25日没。79歳。

【山口県出身作家】彫刻

澄川喜一 すみかわ・きいち SUMIKAWA, Kiichi 1931-
島根県出身。山口県立岩国工業高校卒業。東京藝術大学彫刻科修了。新制作協会展、彫刻の森美術館大賞等に出品。1979年(昭和54)平櫛田中賞を受賞。東京藝術大学教授、同学長を歴任。2002年(平成15)第1回山口県文化特別功労賞。現在、島根県芸術文化センター長。木彫では、樟や欅などの性格を生かし、単純なフォルムの中に、素材の息吹を感じさせる作品をつくる。「そりのあるかたち」シリーズでは、非対称のバランスが生み出す空間性を表現。野外彫刻や環境造形も手がけ、東京スカイツリーのデザイン監修を務めた。
そりのあるかたち ・・・ Carved Shape / 1980 / 木(ケヤキ) /55.6×203.0×34.0

【山口県出身作家】彫刻

田中米吉 たなか・よねきち TANAKA, Yonekichi 1925-
山口市出身。旧制山口県立山口中学校、宇部工業専門学校機械科へと進学。山口市で中学校の教員となるが、美術家になる夢を実現するため上京。1965(昭和40)年、家業を継ぐために山口へと戻り、以後山口を拠点に作品発表を行う。1968 年(昭和43)にロンドンで開催された日本の現代美術を紹介する展覧会では、代表作家の1人に選ばれた。1971年(昭和46)山口県芸術文化振興奨励賞受賞、1982年(昭和57)山口県選奨芸術部門受賞、1985年(昭和60)第 11 回現代日本彫刻展大賞受賞、2004年(平成16)地域文化功労者文部科学大臣表彰。「ドッキング」をテーマとして、積極的に鑑賞者が関われるような立体作品を創作し続けている。

【山口県出身作家】工芸

飴村秀子 あめむら・ひでこ AMEMURA, Hideko 1928-
広島県出身。1945年(昭和20)、広島市において、染色作家花房花子氏に師事、ろうけつ染を学ぶ。1952年(昭和27)以降、山口県において山口県美術展覧会、光風会展、現代工芸展に出品。1966年(昭和41)、日展に初入選、藍染作品に出会う。1973年(昭和48)、自宅に藍甕設置。1978年(昭和53)、現代工芸美術家協会会員、山口県芸術文化振興奨励賞受賞。1987年(昭和62)、第19回日展に出品した《アグルの楯》で特選。1990年(平成2)、山口県芸術文化選奨。1995年(平成7)、日展会員。1998年(平成10)、日本現代工芸美術家協会評議員。2004年(平成16) 中国文化賞受賞。2006年(平成18)、日展評議員。2007年(平成19)、第46回日本現代工芸展に出品した《ガザに盲いて》で文部科学大臣賞受賞。2008年(平成20)、地域文化功労者表彰。2017年(平成29)、第56回日本現代工芸美術展において内閣総理大臣賞受賞。

【山口県出身作家】写真

福田勝治 ふくだ・かつじ FUKUDA, Katsuji 1899-1991
防府市出身。高千穂製作所(現:オリンパス光学工業)に一時勤務。1936年(昭和11)から『アサヒカメラ』に「女の写し方」を連載。戦後はじめて写真雑誌にヌード写真を発表したことで知られる。一貫してモダニズム写真を撮り続けたが、スナップ写真にもすぐれ、「イタリア紀行」「京都」「銀座」シリーズがある。1991年(平成3)12月26日没。92歳。
光りの貝殻〈ヌード〉 ・・・ Nude / 1949 / ゼラチン・シルヴァー・プリント /40.4×32.0

【山口県出身作家】写真

林忠彦 はやし・ただひこ HAYASHI, Tadahiko 1918-1990
徳山(現:周南市)出身。オリエンタル写真学校卒。東京光芸社を経て、1940年(昭和15)内閣情報部の『写真週報』に写真の発表を始める。1942年(昭和17)北京に渡る。戦後は、カストリ雑誌(戦後の大衆向け娯楽雑誌の総称)ブームにのって、人物写真を中心に活躍。代表作に『日本の作家』、『日本の画家一○八人』、『カストリ時代』など。1990年(平成2)12月18日没。72歳。

【山口県出身作家】写真

福島菊次郎 ふくしま・きくじろう FUKUSHIMA, Kikujiro 1921-2015
下松市出身。1952−54年(昭和27−29)カメラ誌ベストテン賞、1957年(昭和32)山口県文化振興奨励賞。1960年(昭和35)上京。原爆、政治社会、軍事、環境問題などをテーマに活動。代表作に、『ピカドン』『三里塚からの報告』『戦争が始まる』など。東日本大震災の被災地を取材するなど精力的に活動を続けた。2015年(平成27)9月24日没。94歳。

【山口県出身作家】写真

下瀬信雄 しもせ・のぶお SHIMOSE, Nobuo 1944-
旧満州新京市出身。1945年(昭和20)、萩市に引き揚げ。1967年(昭和42)、東京綜合写真専門学校卒業後、萩に帰る。1980年(昭和55)、萩市芸術文化賞受賞。1990年(平成2)、日本写真協会新人賞受賞。1998年(平成10)、山口県文化功労賞受賞。ふるさと萩に住み、その日々の暮らしの中で写真を撮るというスタンスを保ち続け、日本の写真界で独自の地位を築いている。2009年(平成21)、第63回山口県美術展覧会で、デジタル合成による写真作品で大賞を受賞し、新たな境地をひらく。2015年(平成27)、写真集『結界』で第34回土門拳賞受賞。

【山口県ゆかりの作家】日本画

福田翠光 ふくだ・すいこう FUKUDA, Suiko 1895-1973
京都府出身。祖父の福田理兵衛は幕末の志士を支援した豪商で、蛤御門の変で京を追われ、萩に身を寄せ士族に遇された人物。京都市立美術工芸学校(現:京都市立芸術大学)を卒業し、はじめ西山翠嶂に、のち徳岡神泉に学ぶ。青甲社展、帝展、日展を中心に活躍。花鳥画を中心に四条派の伝統を生かした写実中心の厳しい画風を作りあげた。特に鷹を得意とし「鷹の翠光」として高名であった。1973年(昭和48)1月24日没。77歳。

【山口県ゆかりの作家】洋画

桂ゆき かつら・ゆき KATSURA, Yuki 1913-1991
東京出身。旧長州藩士の桂家に生まれる。本名雪子。ユキ子、ユキとも書く。東京府立第五高女卒業。二科会に出品し、第1回九室会展に参加。女流画家協会を結成し、1950年(昭和25)二科会会員となるが、のち脱会。早くからコラージュを用い、ユーモアとエスプリを生かした新造形を目指した。1991年(平成3)2月5日没。77歳。
笑う人 ・・・ Man Laughing / 1968 / 油彩・カンヴァス / 116.4×91.0

【山口県ゆかりの作家】彫刻

植木茂 うえき・しげる UEKI, Shigeru 1913-1984
北海道出身。三岸好太郎に師事し、洋画を学ぶが、彼の死後独学で彫刻の道を歩む。1937年(昭和12)、長谷川三郎らとともに自由美術協会設立に参加。戦後、山口県に移り住み、1948年(昭和23)、堀尾卓司らと下関美術家協会設立。1950年(昭和25)、自由美術協会を退会し、モダンアート協会を結成。1951年(昭和26)より晩年まで大阪に住む。一貫して抽象的フォルムを探求し、日本の抽象彫刻のパイオニアとして活躍した。1984年(昭和59)6月3日没。71歳。

【山口県ゆかりの作家】洋画

殿敷侃 とのしき・ただし TONOSHIKI, Tadashi 1942-1992
広島県出身。3歳の時、原爆投下後に被爆。広島大学中退後、版画制作を始める。1981年(昭和56)第1回西武美術館版画大賞展で日版商買上賞を受賞。1980年代から長門市に住み、ここを拠点に、廃材を利用した「環境芸術」インスタレーション制作を行い、注目を集めた。1992年(平成4)2月11日没。50歳。