ようこそ、街道絵図の旅へ

「行程記」は、萩往還、山陽道、東海道など、萩から江戸へと至る主要街道を描いた長大な絵図です。土地の由来や、寺社旧蹟の名所案内も詳しく添えられたその画面は、まるで江戸時代のガイドマップ!防長両国をぐるりとひとめぐりする道筋を描いた「御国廻御行程記」(おくにまわりおんこうていき)ともども、街道絵図を代表する逸品です。
水墨画を思わせる山並み、繊細な描写力、美麗な色彩感覚。
萩藩の天才地理図師(ちりずし)・有馬喜惣太(ありまきそうた)のわざを堪能しつつ、250年前の萩往還へ、トリップしてください。

「行程記」
「行程記」萩往還 山口市街地部分(有馬喜惣太/明和元年(1764)頃/山口県文書館蔵)

美しき絵図の秘密
―地理図師・有馬喜惣太は雲谷派の絵師だった!

かつて、山口には驚くべき精度で美しい絵図を制作する集団がいました。
その名も「萩藩絵図方」(はぎはんえずかた)。絵図づくりを主に担う、萩藩の専門部所です。
なかでも多くの絵図を手がけた中心人物が、 有馬喜惣太(ありまきそうた)(1708-69)。「地理図師」と呼ばれる専門職人として活躍した彼はもともと、雪舟の流れを汲む雲谷派に学んだ絵師だったのです。
山口の美しき絵図の秘密は、有馬喜惣太に受け継がれた雲谷派の「わざ」に、そして雲谷派に受け継がれた雪舟の「わざ」にあるといえそうです。

「西湖図」
「西湖図」(雲谷等竺/江戸時代/山口県立美術館蔵)

縦3メートル×横5メートル!迫力の国絵図

「国絵図」とは、江戸幕府より主要大名らに提出の命が下った、各国単位の絵図のこと。山口には周防国と長門国の、幕府に献上した控えが伝わっています。防長全土を描く最古の作例「慶長国絵図」(重要文化財)と、そのおよそ50年後の「正保周防国・長門国絵図」。
迫力の大絵図には、だんだんと現在に近づいてゆく、山口のかたちが、刻まれています。

「周防国絵図」
「周防国絵図」(慶安2年(1649)/山口県文書館蔵)

全国踏破!伊能図誕生

日本の地図制作史上最も名高い人物、伊能忠敬。彼が全国を測量して歩き、きわめて精密な日本全図を作り上げたことはよく知られています。山口には伊能測量隊自らが制作したと思われる、萩藩全域の藩保管用の控えが残されています。
近くで観察すると、その描写は、意外にも絵画的。伊能忠敬の見た景色を辿る生々しさが味わえる、ひときわ透明感あふれる美しい絵図をご堪能下さい。

「御両国測量絵図」
「御両国測量絵図(伊能大図)」全7図のうち3図(天明4年(1784)頃/山口県文書館蔵)

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