ヨーロッパ絵画に欠かせない聖書の物語。ちょっと難しそうな気もしますが、聖書のお話やある場面が描かれる時の「決まりごと」を知っていると、実はとっても見やすい絵です。展覧会の出品作品から、代表的な主題をご紹介します。
聖母子は、幼子イエスとその母である聖母マリアをあらわすものです。キリスト教のカトリックでは、聖母マリアは神の子イエス・キリストと同じか、あるいはそれ以上に重要な存在として、崇拝の対象となっています。そのため、聖母子像はヨーロッパ絵画の歴史の中で数多く描かれてきました。ルネサンス以降には、母性や慈愛を強調する聖母子像が数多く描かれるようになります。
「おめでとう、マリアよ。あなたは神の子を産むでしょう」。大天使ガブリエルが、キリストの誕生を予告するドラマティックな場面です。思わぬ来客に戸惑うマリア。精霊を象徴する白い鳩、純潔をあらわす白い百合はこの場面に欠かせないアイテムです。
キリストが生まれたことを星によって知った東方の博士たちは、生まれたばかりのキリストと聖母のところに来て礼拝し、贈り物を捧げました。この3人はそれぞれヨーロッパ、アフリカ、アジアを象徴し(肌の色に注目)、世界中がキリストを礼拝することをあらわしています。