菅原道真公の波乱の生涯と、天神さま誕生の秘話、
そして防府天満宮の創建。
その全てが描かれた「松崎天神縁起絵巻」の世界へようこそ。
「防府天満宮展」最大の目玉であり、見どころいっぱいの、この絵巻。
会場へ行く前に、物語の内容と、画面の色鮮やかさ、文字の美しさ、そして1巻約14メートルにもなるその長さを、ちょっぴりご案内します。
「松崎天神縁起絵巻」は、全部で38の場面からなる長編物語。ここでは各巻の内容をダイジェストでご紹介しましょう。
慣れ親しんだ都との別れ。太宰府での侘びしい暮らし。道真公は左遷から丸2年程が過ぎたある時、高い山へと登り、七日七晩、天に我が身の無実を訴えます。祈りが天へと届いた時、ついにその身は「天満大自在天神」となったのです
絶大な力を手に入れた道真公。しかし無念の思いから怨霊となり、自らを陥れた人々に、次々と祟りをなします。ある時は雷神を従えて都へ雷を落とし、ある時は蛇に姿を変えて時平に取り憑き…。その怨念はついに帝へも至り、死へと導いていくのでした。
あらぶる道真公の御霊を鎮めるため、京の都には道真公を祀る社が建立されます。道真公の罪は朝廷より公式に撤回され、太政大臣の位も追贈されました。これにより心を晴らした道真公は、今後国を護る神となることを誓ったのです。
天神さまはあらゆる願いを叶えて下さる神となりました。ある時は濡れ衣を晴らし、ある時は極楽往生を助け、ある時は良縁を授け、またある時は病を払って下さいます。巻4の後半と巻5では、天神様が叶えた数々の不思議とご利益が綴られます。
かつて大宰府へ下る途中、道真公は防府勝間の浦に立ち寄りました。そして「ここはまだ帝のいる都と地続きの地。願わくばここに住まいたい」と言い残し、筑紫へと向かったのです。その後しばらくして、防府の海に不思議な光景が起こりました。人々は亡くなった道真公が戻られたしるしに違いないと考え、天神山のふもとにお社を建立します。こうして誕生したのが、防府天満宮なのです。