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撮影:岩井共二

プロローグ1

堀木エリ子が23年間のキャリアの中で制作してきた和紙の中から12種類を選び、展示した空間。それぞれ3層から7層までに漉き込まれた和紙は、90cm角の額縁に絵画のように貼り込まれ、バックパネルからの光によって、各層に刻まれた文様を重層的に浮かび上がらせる。
「和紙をつくるだけではなく、和紙の向こう側の気配や手前の空気感をもつくる」という堀木の考え方を、あたかも抽象絵画を見るかのような雰囲気のなかで、実感することができる序章。


撮影:岩井共二

プロローグ2

紙漉の伝統に触れるうちに、次第に、紙に秘められた神への「祈り」に気づいていく職人たち。堀木もまた、この1500年の伝統に連なる一人でもある。光を乱反射するという和紙の特性を生かして作られているこの光空間は、まだ「祈り」と名付けられてはいないものの、永きにわたって和紙に畳まれてきた「祈り」が柔らかく解き放たれ浮遊しているかのようでもある。
7層に漉き込まれた2.7m×2.1mの和紙を、アクリル板の表面に貼って、両側に各々9つずつ並べた光の廊下。虹の7色がグラデーションとして連なると同時に、丸いドットの文様が大小に伸縮しながら、永遠に連続するかのように空間全体を包み込む。


撮影:淺川敏

祈り1

全長15メートル、高さ2m70cmで漉いた巨大な和紙2枚で包み込まれた光の空間。和紙本体は、楮(こうぞ)の茎や紬糸(つむぎいと)を漉き込みながら10人がかりで3ヶ月かけて制作された。全体を覆う、流れるような曲線は、日本古来の文様「立涌(たてわく)」をモチーフにしたもの(立涌とは、宇宙の良い兆しが沸き上がる意味を持つ吉祥の柄のこと)。空間の中心に位置する繭のオブジェは、死者を来世へ見送る棺であると同時に、再び現世へと誕生する命を迎える卵を意味する。


撮影:淺川敏

祈り2

2004年の浜名湖花博の折、野村万之丞(1959-2004)の依頼で制作された花の精をモチーフにした伎楽面。それを支えるトルソ、そして背景の創作和紙から構成された空間。伎楽面とトルソは、パイプや樹脂を内蔵して立体的に漉きあげるという堀木ならではの特殊な技法が用いられている一方、背景の森や湖をイメージした和紙は、堀木の和紙創作の原点である越前和紙の職人とのコラボレーションによって漉きあげられている。人間にとって優しくもあり驚異でもある自然への祈りを込めて制作された空間であると同時に、2004年に急逝した野村万之丞へのオマージュとして制作された作品である。


撮影:淺川敏
©Disney
WA-Qu INTERNATIONAL Inc.

祈り3

2007年、堀木は、京都のクリエーター集団「和空インターナショナル」の仕事として、ウォルト・ディズニーのキャラクターと日本の伝統産業を結びつけたオブジェを制作した。それが、子供たちに対する祈りの作品としての、和紙によるミッキーマウスである。
背景のタピスリーや光柱は、ミッキーマウスを象徴するアイコンとハートを古来の文様のようにデザインして、透かしと呼ばれる伝統的手法で漉きあげられている。一方、ミッキーマウスは、堀木独自の現代的手法で制作されたもので、立体的に漉かれた一枚の和紙からできている。


撮影:岩井共二

祈り4

<祈り1>の空間で見たような巨大な和紙は、堀木によってはじめて、和紙の伝統の中に位置づけられた。このコーナーで見られる立体的に漉かれた和紙もまた同様である。抜け殻のような構造で、骨組みや糊を使用せずに柔らかな曲面を表現することができるこの堀木独特の手法は、和紙の可能性を一段と広げた。暮らしに対する祈りの空間として構成されたコーナーの中心に位置する作品は、フランスのクリスタル・ブランド、バカラとのコラボレーションによる和紙シャンデリア。総重量60kgにもおよぶガラスを支えるために、樹脂を内蔵した特殊な技法で漉かれている。


撮影:岩井共二

祈り5

祝儀袋やのし紙に見られる白い和紙には、不浄なものを浄化するという精神性が宿っている。ものを大切に包む日本の美学と和紙の文化が深く結びついて残された伝統の形式である。このコーナーでは、堀木が1989年から手がけてきたオリジナル創作和紙によるラッピングの作品を展示し、日本古来の折り型を基本とした独自の造形を紹介する。

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